■運動の時間がない人も大丈夫
日常生活で歩数を増やし、
短時間でもより多くの歩数を稼ぐことで、
健康余命を延ばし長生きできるという調査結果を、
米国心臓学会(AHA)が発表した。
ウォーキングなどの運動をするため、
まとまった時間をつくるのが理想的だが、
「毎日忙しい」などの理由で
運動の時間を作るのが難しいという人は
本当に多い。
そんな人は、
日常生活でなるべく体を動かすことを心がけるだけでも、
そうした細切れの時間を集めると
立派な「運動」になるという。
逆に、長時間座っていることは、
心臓病、がん、うつ病、2型糖尿病、肥満などの
健康上のリスクを高めることも分かった。
少し調べれば、
1日の歩数を増やすための工夫は
いくらでも紹介されている。
■1日の歩数を増やすことで健康余命は延ばせる
ウォーキングと健康余命の関係には
はっきりとした関連が研究成果として示されており、
これまでの研究では1日の歩数が多いほど
健康に長生きできることが
結果として多数発表されている。
ウォーキングは、心臓の健康を含む、
身体と精神の健康維持・増進のための運動として、
もっとも手軽で安全に取り組めるものだ。
そのため米国心臓学会(AHA)の
成人向け運動ガイドラインでは、
週にウォーキングなどの中強度の運動を150分以上、
あるいはランニングや水泳などの高強度の運動を
75分間行うことが推奨されている。
これは、1日の歩数や運動時間が
重要な指標になるという考えに基づくものだ。
しかし最近では、
便利で手軽なスマートフォンの健康アプリや
進化した万歩計を利用できるようになり、
ウォーキングの歩数を含め、
さまざまな体の動きを測定できるようになった。
これにより、機器の進歩により
ウォーキングに関する研究も飛躍的に進歩しています。
フィットネスアプリや歩数計の機能を使用すると、
1日の歩数が簡単かつ細かく正確に把握できるようになり、
その記録期間は数ヵ月分に及ぶこともあります。
■1日の歩数を1000歩増やすだけで死亡リスクは28%減少!!
米ノースカロライナ大学などは、
ウェアラブルデバイスの活動計の機能を利用し、
10分以上の途切れのないウォーキングや、
階段昇降などの日常での短い身体活動について調査し、
どのような身体活動が健康にもたらす影響が高いかを調べた。
米国で「女性の健康に関する研究」という、
4万人の女性を対象とした追跡調査が1990年代に開始された。
研究グループは2011~2015年に、
この研究に参加した1万6,732人の女性を対象に、
ウェアラブルデバイスを身につけてもらい、
週に4~7日間の身体活動について記録した。
参加者は全員60歳以上で平均年齢は72歳だった。
研究グループは、参加者を平均6年間追跡し、
(1)中断の少ない10分以上のウォーキングなどの運動、
(2)掃除や洗濯などの家事、階段の昇降、
車まで歩くなどの日常での移動や通勤など、
短い時間の身体活動の2種類について調べた。
さらに2019年まで平均6年間、
心臓病やがんなどのあらゆる原因による
死亡について追跡して調査した。
その結果、短い時間であっても体を活発に動かしており、
1日の歩数の多い人は、
中断のないウォーキングなどの時間の歩数に関係なく、
より健康で長生きしていることが明らかになった。
ウォーキングなどの運動で
1日に2,000歩以上をカウントしていた人は、
死亡リスクは32%減少したが、
そうした運動をしていなくとも、
1日の歩数を1,000歩増やすだけで、
歩数が少ない場合に比べ死亡リスクは28%減少した。
日常生活での短時間の身体活動が長生きにつながる効果は、
1日に約4,500歩を増やすと最高値になった。
こうした効果は、
ウォーキングなどの時間が途切れない運動の
時間に関係なく得られることも分かった。
どんな種類の身体活動であっても、
座ったまま過ごす時間に比べずっと優れていることが、
ウェアラブルデバイスを利用した研究で
明らかになりましたと言えます。
健康のために心がけたいのは、
日常生活で座ったまま過ごす時間を減らし、
細切れの時間でもよいので、
なるべく体を動かすようにすること、
と言えますね。
■長時間座ったままの生活スタイルは健康リスク増大
カリフォルニア大学の研究でも、
長時間座ったままの生活スタイルは健康上のリスクとなり、
ときどき立ち上がって体を動かすことで
危険を回避できることが示されている。
同大学の学生を対象とした調査で、
長時間座っていることは、
心臓病、がん、うつ病、2型糖尿病、肥満などの
健康上の懸念を高めることが示された。
少なくとも1時間に1回は、立ち上がって体を動かし、
長時間の座位を解消することで、
健康上のリスクを軽減できる可能性が高い。
しかし学生の多くは、
「授業中に立ち上がってストレッチや散歩をするのは、
社会的マナーに反するので受け入れられない」
「運動は夜にまとまった時間行えば十分」
と考えていることも分かった。
仕事昼夜や学校では健康増進のために、
簡単なものでよいので、
短いストレッチ休憩のようなものを取り入れ、
長時間座っていることの健康リスクについての
意識を高める対策を取り入れるべき
と言えそうですね。
■日常生活で歩数を増やすための工夫
オーストラリア糖尿病協会によると、
日常生活で座ったままの時間を減らし、
歩数を増やすために、
いくつかの工夫のアイデアが紹介されていました。
■ 歩数を少しずつ増やしていく
1回30分のウォーキングを週に5日行うのが理想的ですが、
それができない場合は、
ウォーキングの時間を1日に3~5分でも良いので、
少しずつ増やしていくことからはじめましょう。
時間が無いからと、
何もしないでいるよりも、
できる時間でいいので少しずつ取り組むことが大切です。
まずは始めることが肝心です。
■ 歩数計アプリを持ち歩く
歩数をカウントできるスマホのアプリを活用すると、
ウォーキングへの意欲が増します。
まずは1、2週間、ためしに運動アプリを使ってみましょう。
歩数のカウントが増えるのを見ると嬉しくなるはずです。
慣れてきたら、
1日の歩数を500歩、1,000歩と増やしていきましょう。
記録更新するとお知らせしてくれるアプリもあるので、
さらにモチベーションアップに繋がりますよ!
■ 運動は続けることが大切
体重60kgの人が
30分の活発なウォーキングで消費できるカロリーは
130kcalぐらいといわれています。
この数値を少ないと思うかもしれませんが、
1年継続できれば、4万kal以上を消費できます。
運動は続けることがとても大切です。
「塵も積もれば山となる」
先人の言葉に偽りはありません。
信じて突き進みましょう!!
■ 車やバスに乗らない
通勤に鉄道やバスを使う人は、
いくつか手前の停留所や駅で降りて、
目的地まで歩いてみましょう。
10~15分のウォーキングでもかなりの歩数になります。
エスカレーターやエレベーターを使わずに、
階段を利用するのも有効です。
ウォーキングよりも階段昇降の方が
消費カロリーは約2倍大きいのでお勧めです。
■ 外出はバスや電車で、なるべく階段を使うようにする
外出するときは、
車やタクシーはなるべく使わないようにして、
バスや電車を使いましょう。
また、駅にあるエスカレーターやエレベーターを使わずに、
可能な限り階段を使うようにしましょう。
日常の中に運動のチャンスはあるはずです。
運動の時間をわざわざ確保するよりも、
普段の生活に、運動の要素を追加するほうが、
取り組みやすいし継続率も高いので、
お勧めです。
■ 昼食時間に歩く
少し時間に余裕のあるときは、
ランチを職場の近くではなく、
歩いて10分以上離れた場所でとりましょう。
ランチタイムに余った時間に
ウォーキングなどをして体を動かしましょう。
歩いていると街の様子が分かり、思わぬ発見もあります。
脳への刺激も増えて、
考えが整理されたり、
新しいアイデアが生まれるキッカケにもなりますよ!
■ 移動中に座らない
疲れているときは電車やバスの座席に座りたくなりますが、
体力に余裕があるときは座らないようにしましょう。
立っているだけでも
体の消費カロリーを増やすことができます。
■ 事前に医師に相談を
高血圧や糖尿病の治療を受けている人は、
事前に医師に効果的で安全な運動のやり方について
確認しておきましょう。
また身近にトレーナーや理学療法士がいる場合は、
運動のプロの彼らに相談してみるのも有効です。
糖尿病の薬物療法を行っている人は、
低血糖への対策が必要となる場合もあります。
■おわりに
今回は糖尿病と絡めて、
運動不足について情報を整理してきました。
しかし糖尿病に限らず、
そして年齢に限らず、
運動は身体と精神の健康維持にとても有効で大切です。
運動の時間を作ることが難しい場合は、
生活の一部に取り入れて、
すぐにでも運動を始めて、
なるべく長く継続しましょう。
元気になったら止めるものではなく、
死ぬまで生涯続けるつもりで、
無理のない範囲で取り組みましょう。
何事もほどほどに取り組んで、
可能な限り継続することが肝心要(かんじんかなめ)です。
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